授業実施レポート
【キャリア教育実践授業】「好きを大切に」夢の実現に大切なこと@熊本市立春竹小学校

2023年2月14日、熊本市立春竹小学校にて複業先生を活用したキャリア教育が行われました。

今回登壇してくださった複業先生は、株式会社ヌーワン代表取締役の安藤竜志氏、元お笑い芸人・現大学職員の中沢惇平氏、大手総合電機メーカー研究員の増本優衣氏です。今回の授業で3名は、自身の経験を踏まえて気づいた「夢の実現のために大切なこと」について語りました。

複業先生プロフィール> 安藤竜志 株式会社ヌーワン代表取締役 2004年生まれ。新潟大学工学部に在学中。盛岡中央高等学校単位制卒業。高校時代に個人事業主でカウンセリング事業を1年間経験。その後、大学進学と同時にイベント会社の株式会社ヌーワンを設立。(現在は売却済み)設立から1年未満でイベント事業の実績は100件を超え、幅広い業種のイベントに携わる。現在はイベントの企画運営や主催の他、全国各地の大学などの教育機関にて起業や経営に関する講演も多く行っている。その活動は複数のメディアにも取り上げられる。

中沢惇平 元お笑い芸人・現大学職員 お笑い芸人として活動後、IT企業や環境・エネルギー企業でのインターンシップを経験。その後、大手学校法人が運営する都内大学にて、現在も勤務。キャリア形成に関する講義500回以上、大学生及び高校生へのキャリア支援1,000人以上行う。また、起業経験もあり、お笑い芸人から起業まで幅広くキャリア教育を行うことが可能。

増本優衣 大手総合電機メーカー研究員 博士号(薬学)を取得し、現在は民間企業にて電池の材料開発に従事。自ら企画立案した実験で「これは面白い!」と思ってもらうこと、そのワクワクで周りの人を笑顔にすることが一番のモチベーション。創薬や電池開発といった先端技術に携わる中で感じた楽しさを『複業先生』として伝えている。

「様々な職種の人から話を聞いてもらいたい」授業の実施目的と依頼背景

今回の授業の依頼背景は、小学校卒業まで50日を切った中春竹小学校の先生方が「将来やりたいことが決まっていない子どもが多いこと」に課題感を覚えていたためです。

「社会で活躍する様々な職種の人から話を聞いてもらいたい」「子どもたちが知らない働き方を知ってもらいたい」という先生方の熱い思いのもと、3名の複業先生によるキャリア教育の授業設計を進めました。 

多種多様な複業先生が登壇した「授業概要」

  • 日付:2023年2月14日
  • 授業時間:90分
  • 開催方法:オンライン
  • 授業形態:講義形式
  • 参加人数:85名
  • 学年:小学6年生
  • 設置区分:公立小学校
  • 複業先生名:安藤竜志、増本優衣、中沢惇平
  • 複業先生の職種:株式会社ヌーワン代表取締役、大手総合電機メーカー研究員、元お笑い芸人・現大学職員

授業テーマは「夢の実現」実際の授業内容について

<19歳の起業家・安藤氏>

  • 起業に至るまでの経緯
  • やりたいことがあるなら、バカにされてもいいからまずはやってみることの大切さ
  • 努力すること・継続することの重要性

<元お笑い芸人・中沢氏>

  • 自身が『お笑い芸人になりたい』という夢を持ってよかったと思える3つのこと
  • 挑戦することの大切さ(自身も夢を叶えるために、学生時代の同級生とお笑いコンビを組んだり、養成所について調べたりとたくさんの行動を起こした)

<大手総合電機メーカーの研究員・増本氏>

  • 研究員の道に進むことになった経緯
  • 恩師と呼べる存在に出会った人生の転機
  • 「周囲の人とのご縁を大切にしてほしい」というメッセージ

19歳の起業家が語る「夢はバカにされても大丈夫!自分を信じて継続してみよう」

授業のトップバッターを務めたのは、株式会社ヌーワンの代表取締役・安藤氏です。現在株式会社ヌーワンは売却されました。株式会社ヌーワンでは、主にイベントの企画・運営に関する事業を行っていたと言います。まずは、自身が起業に至った経緯を説明しました。

「僕はどちらかというと、幼い頃から1人で過ごすのが好きなタイプ。休み時間はいつも教室に閉じこもっていて、当時は漫画やゲームにハマっていました。」

しかし中学生になると、「1人が好き」という性格が災いしたこともあってか、クラスメイトからいじめを受けて不登校になってしまったそうです。

「どこにも居場所がなくて、とにかくつらかった。その後高校に合格したけれど、中学生の頃と同じように不登校になってしまって。とうとう留年してしまった僕は、自分が無理なく通える高校へ転校することを決めました。」

高校3年生になると、安藤氏は個人事業主としてカウンセリング業務に携わるようになったそうです。

「カウンセリングの仕事をしつつ、大学受験もしました。大学進学後は、本格的に起業に力を入れはじめました。中でも前々から興味があったイベントの企画・運営に携わろうと思い、現在に至ります。」

続いて安藤氏は、自身の経験を踏まえて次のような話をしました。

「僕が一番伝えたいのは、『心からやりたいと思えることがあるなら、まずはやってみてほしい』ということ。ゲームでもYouTubeへの動画投稿でも、何でも構いません。やりたいことを貫くことで、ときにはあなたをバカにしてくる人が現れることもあるでしょう。でも、大丈夫。周りに何を言われても、自分を信じることが大切です。」

さらに安藤氏が説いたのは、「継続することの大切さ」。いざ何かを成し遂げようと思っても、それを継続できる人はごくわずかだと言います。

「みなさんは、『光が当たるところに影ができる』と言う言葉を知っていますか?うまくいっているように見える人ほど、裏で大変な苦労や努力をしています。物事を成功させるためには、毎日コツコツと地道に継続するのみです。」

元お笑い芸人/現大学職員が伝える「できなくてもいい。まずは挑戦してみること」

続いての複業先生は、お笑い芸人としての経歴を持つ中沢氏。

「お笑い芸人と聞くと、皆さんはどんなイメージを持ちますか?人を笑わせるだけでお金をもらえる楽しそうなイメージではないでしょうか?でも、そもそも仕事とは、自分の好きなこと・得意なことで人を笑顔にするものだと、僕は思います。」と、明るく語りました。

中沢氏がお笑い芸人を志したきっかけは、小学生時代に遡ります。

「小学生の頃、僕はおしゃべりが大好きでした。学校でも家でも、とにかくうるさい子どもでした。子どもながらに、漠然と『将来はおしゃべりを通して人を笑顔にしたい』と思っていましたね。」

そんな中沢氏に転機が訪れたのは、生徒たちと同じ小学6年生の頃。「M-1グランプリ」に出演しているお笑い芸人を見て、衝撃を受けたと言います。これこそがまさに憧れていた、「おしゃべりで人を笑顔にする仕事」だと。

その後、中学生になると同級生とお笑いコンビを組んだという中沢氏。高校卒業後には、お笑い芸人の養成所に通うことを決めたそうです。

続いて中沢氏は、「自身が夢を持ってよかったと思える3つのこと」について語りました。

「1つ目は、何より自分に自信を持てるようになったことです。『自分は、やりたいと思ったことを実現できるのだ』とわかりました。」

2つ目の「よかったこと」は、「お笑い芸人としての経験が別の仕事にも活かせていること」だと言います。実は中沢氏、現在は大学職員として、生徒の前でお笑い芸人としての『おしゃべり』の経験を活かしているそうです。

「3つ目は、挑戦することの楽しさを知ったことです。食べたことのない食べ物のおいしさはわかりません。でも実際に食べてみると、それが『おいしい』とわかる。まずは何事も挑戦することが大切です。」

最後に中沢氏は、「挑戦することの大切さ」を強調しました。

「僕は『お笑い芸人になりたい』と思いはじめてから、同級生とお笑いコンビを組んだり、養成所について調べたりとたくさんの行動を起こしました。もし何もしなければ、今も『お笑い芸人になりたい』と思うだけで終わっていたかもしれません。」

「『興味はあるけれど自分には無理』と諦めてしまうこと。これはすごくもったいないです。できなくてもいいんです。その経験が別の仕事に活きる可能性もあります。まずは興味のあることに挑戦してみてください。」

「すべてのはじまりは親友との出会い」大手総合電機メーカー研究職員が語るご縁の大切さ

最後にお話をしたのは、大手総合電機メーカーで研究職員として働く増本氏。電池をつくることが増本氏の仕事だそうです。

「軽い電池、長く使える電池など世の中には、いろいろな電池がありますよね。私は常日頃から『どんな電池があったら便利かな?』と考えています。」

続いて増本氏は、自身が研究職を志した経緯について語りました。

「大学受験では第一志望の大学に落ちたことをきっかけに、自分の進路を見つめ直しましたね。最終的には『食品や薬に関係する生活に役立つことがしたい』と思い、化学の道に進むことにしました。」

後に増本氏は、自身の恩師と呼べる存在に出会ったと言います。

「彼は『興味のあることは何でもやってみなさい』と言ってくれました。恩師の言葉通り、私は、修士課程・博士課程で薬をつくる研究に没頭。たくさんの材料を扱っていたら、たまたま電池にも使えそうなものが見つかりました。これが、私の電池研究者としての人生のはじまりです。」

以上の経験を踏まえて増本氏が説いたのは、「人との出会いの大切さ」でした。恩師との出会いがきっかけで、今はメーカーの研究職として楽しく働けていると言います。

「恩師とのかかわりを持ったきっかけは、テニスでした。学生時代にテニス部に所属していた私は、その恩師と意気投合したのです。」

しかし、「実はずっと体育が苦手だった」という増本氏。

「どうして私がテニス部に所属していたかというと、小学生の頃からの親友が誘ってくれたから。そこからすべてがはじまりました。」

他の複業先生が言っていたように『好き』や『得意』を大切にすることも大事。同時に皆には、お友だちや先生といった周りの人とのご縁を大切にしながら勉強に励んでほしい。」増本氏は、生徒にそうエールを送りました。

「自分を信じて行動したい!」実際に寄せられた生徒の感想

授業後、生徒からは次のような感想が寄せられました。

「みんな自分が興味を持ったことや好きなこととか、自分の思う通りに仕事をしていて、私も『自分が好きなことや得意なことを仕事にしたいな』と思いました。」

「3人のお話を聞いて、共通していることとして、『自分を信じて結果じゃなくて行動してみることが大切』と言っていることに気づきました。」

3人の複業先生に共通するのは、「自分の好き・得意を貫き、行動を起こし、諦めずに継続していること」です。それぞれの複業先生が説いた「自分らしいキャリアを実現するために大切なこと」は、生徒にもしっかりと届いていたようでした。

『複業先生』に関してはまずはお気軽にお問い合わせを!

今回の記事は、熊本市立春竹小学校にて行われた、複業先生を活用したキャリア教育についてご紹介しました。

3名の複業先生がそれぞれ別の道で夢を叶えている様子を直接聞くことができ、これから中学校に進む子どもたちの背中を押せた時間となりました。

今回の記事を読んで「他校の事例も見てみたい」「『複業先生』について具体的に知りたい」「学校の先生とのつながりをつくりたい」と思われた学校の先生方、まずはお気軽にご相談ください。


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