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【インタビュー】今、教育の創り手になるVol.3「『自分を諦めなくていい』。そのことを教えてくれた場所で、私だからできること」

社会に開かれた、次世代の教育のあり方が模索されている、昨今。異なるフィールドから、新たな教育の「創り手」側に飛び込もうとしている人もいます。このインタビューではLX DESIGNの仲間を紹介し、その素顔、本人を突き動かす動機や挑戦にかける思いに迫ります。

今回はLX DESIGNの社長室兼PR・企業連携等を担う 佐藤志穂(36)を取り上げます。長年の広報・PRの経験を活かし、LX DESIGNにかかわる方々からの信頼獲得を目指して働く他、現在は経営面にも携わる佐藤。肩書きはというと、見慣れぬ「CYO」の文字。「Chief“YORISOI(よりそい)” Officer」を名乗り、社内外のステークホルダー一人ひとりに“よりそう”役割を担っているのだとか。“よりそい”とは何か。なぜ、よりそうのか? 佐藤が見つけた自分ならではの役割について、話を聞きました。 

「本当は人見知り」。隠したい自分をあらわにするわけは?

「ここにいる自分が、一番自然なんですよね」

取材中に佐藤志穂(以下、佐藤)は、ふっと息を吐いて言いました。

いつも元気いっぱいで明るく、みんなで協力して何かを成し遂げるのが大好き。後輩が困っていないか細やかに目を配る、面倒見のいいお姉さん。一見するとそんな印象の彼女ですが、自身のことを「本当は人見知りなんですよ」と笑いながら話します。

「親や友人たちからは、私はきっと誰とでもすぐに打ち解けることができて、いつも周りに人がいるタイプだと見えていると思います。でも本当は、人とかかわるとき『この人に嫌われたらどうしよう』と、つい考えてしまうところもあるんです」

さらに、明るい表情のまま語り続けます。

「自分や社会の『~すべき』といった考えについ支配されてしまって、自分が苦しくなることもある。外面ばかり取り繕って、うまくいっているように見せてしまうんですよね。本当は苦手なことも、うっかり『できます』『やれます』と言っちゃう。やってみたら案の定うまくいかない。どんどん自己嫌悪になる。でも、できない自分を人には見せられない。悪循環ですよね」

できれば人に嫌われたくない。できる自分でいたい。誰しもが、程度の差はあれ、当たり前に持っている感情です。仕事の場面であらわにすることはなくとも、心の奥に隠し持っている人も多いのではないでしょうか。しかし、佐藤はそうした、できれば隠しておきたい気持ちと向き合い、人前であらわにすることを“あえて”しようとしているように見えました。

なぜか。

その背景に、彼女が担う役職「Chief “Yorisoi(よりそい)” Officer」が存在する意味があります。一般的に「寄り添う」とは、そばにいることや、相手に心を寄せるといった意味の言葉ですが、佐藤の語る“よりそい”は、それとは少し意味が異なるものでした。 

大きな声で言えなかった夢が叶った瞬間「ここにいていい」と思えた

みんなで協力して何かを成し遂げるのが好きな性格は、昔から。創立したての新設大学に入学した佐藤は、自治会・学園祭実行委員会等で活動します。そして、学園祭で壮大に花火を打ち上げようと、自ら企画しました。

「新設大学の一年目って、もう二度と訪れないじゃないですか。だから勝手に重責を感じて、『二度とない機会なのだから、大学の歴史に刻まれるようなことをしなきゃ!』って張り切ったのかもしれません」

大きな花火を打ち上げるとなると、地域の消防課の協力を得なければならないなど、様々な手続きや関係者への許可取りが必要です。簡単に実現できることではありません。大人から反対されて涙したこともあったとか。しかし見事、地域の人も呼んで打ち上げ花火を成功させました。それにしても、なぜ花火?

「えーっと、一生の思い出に残りそうだなって思って。あははは(笑)。それだけの理由でも、みんなと一緒なら頑張れたんですね」

将来について、実は以前から憧れていた職業がありました。それは、キャビンアテンダント(CA)。旅客機の客室乗務員です。大学時代もCAを目指して陰ながら努力していたものの、最初はなかなか周りには打ち明けられなかったとか。受験するも、面接で不合格に。

「どこかで『自分なんかがCAになれるわけがない』と諦めていたのでしょうね。働く姿を見て、かっこいいと思ったのは確かなのですが……それだけではなく、『佐藤さん家の娘さん、CAさんになったんですって』と周りから言われるような素敵な職に就いて、両親が喜んでくれたらいいなと思っていたところもあるのでしょうね」

大学を卒業してからはインターネット広告会社に勤めますが、働く中で「広報をやりたい」といった気持ちが芽生えます。広報として自分が「必要とされる場所」を求めて、何度か転職をしている間に出会ったのが、LX DESIGN代表の金谷智でした。

「この人は何を目指しているのだろう、と不思議に思った」

イベントで金谷と出会ったときの印象を、このように答えた佐藤。当時は、現在のLX DESIGNの核となる『複業先生』のサービスも、まだ形を成していなかった頃です。

「昔から金谷は多方面にアンテナが向いていて『これをしたい』『あれをしたほうがいい』と脈絡なく話すのです。私自身、教育の道に明るくなかったこともあって、金谷が一体どこに向かっているのかよくわからなかった。ただ、この人には世界を変える根拠のない自信があるんだと、それだけはわかりました。『よくわからないけど教育業界を変えようとしている』『この思いの強さ、未来を信じる力があれば、何かをやり遂げるかもしれない』。そんな予感を抱いて、気づいたら彼と並んで走り、時には言い合いをしながらも、金谷の思い描くことを実現するには?と考えるようになっていったんです」

あるとき、佐藤は何気なく、自分がかつてCAを目指していたことを金谷に話しました。本当は航空会社で働いてみたかったのだと。すると金谷がこう言ったのです。「わかった。じゃあ佐藤さんが航空会社と仕事できるような機会を、僕がつくるよ」。

その翌週のことです。

「びっくりしました。航空会社さんとのミーティングが、私の予定に入っていたんです。もともと金谷に航空会社さんとの伝手があったのではなく、おそらくいろんな人に聞いて、接点を探し、お仕事をご一緒できるような機会を手繰り寄せてくれたのだと思います」

金谷の行動力に驚かされたのと同時に、この時佐藤は「確かに自分はここにいる、ここにいてもいいと、自分の存在を承認されたような気持ちになった」と言います。

「私自身が諦めていた夢が、まったく違う形で叶った。自分のやりたいことや叶えたかったこと、そして自分ひとりでは叶えられそうにないことを、口に出していいんだ。できないと思ったら、誰かに助けを求めてもいい。『ここはそういう場所なんだ』と、心から思えたのです」 

そして、誰かの思いに耳を傾け、機会を与えられる存在へ

この数年、LX DESIGNの仲間が少しずつ増え、事業拡大していく様子を、佐藤は見てきました。挑戦の幅が広がれば広がるほど「LX DESIGNを広く知っていただくだけでなく、携わってくださるすべての方に信頼していただけるような会社にしていきたい」と語ります。

「チームメンバーの中では“古株”ですから、この組織が大きくなっていく感動を、一番味わえているメンバーは私かもしれない、って自慢に思っているんです(笑)。チームメンバーに助けられているし、私も支えたい。会社や仲間のことを、勝手に自分の子どもみたいに思っているかもしれませんね」

もちろん教育業界を変えるという大きな目標に向かって挑戦する一員ではありますが、佐藤は「それ以前に、大事にしたいことがある」と語ります。

「チームの仲間一人ひとりが本当にやりたいと思っていることや、自分にはできないと諦めてきたことを理解したい。そして、その人の心からの『~したい』気持ちに手を差し伸べて、機会を与えられる存在になりたいと思うんです。私だけではできないことだとしたら、他の仲間たちの力を借りて。それが私の考える“よりそい”です」

それはかつて、金谷が佐藤にしてくれたこと。そして、LX DESIGNの目指す「すべての人が自分らしい人生をデザインできる世界を」のミッションにつながる役割。ひょっとしたら佐藤は、自分の弱いところや苦手なところもあらわに見せることで、誰かに“よりそえる人”になろうとしているのかもしれません。まずは自分の仲間たちに。そして、その先の、LX DESIGNが協業する企業や学校現場へ。

「今、この仲間と仕事できていることが嬉しいし、幸せです」

行き先の異なる人たち一人ひとりの旅を見つめ、大空をわたって、一人ではとてもたどり着けない彼方まで送り届ける存在のように。佐藤自身の旅も、まだまだこれからです。

取材・文/塚田智恵美


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