イベント開催レポート
教育現場で効果的にICTを活用するには?LX代表金谷登壇|社会とつながる開かれた教育【教育ICT活用研究会オフラインイベント】

​​2022年8月20日、「教育ICT活用研究会オフラインイベント〜ICTをフル活用した理想の教室をデザインする〜」をテーマに、教師を目指す学生と現役の先生による交流を行い、より良い教育実践について考えるイベントが開催されました。

今回のイベントは、教育学部の学生団体「教育ICT活用団体」が主催。教師を目指す学生と現役の先生や教育業界で活躍する方をお呼びして、より良い教育実践を考える機会となりました。

この記事では、LX DESIGN(以下:LX)代表金谷がイベントで登壇した様子をお届けします。

外部人材と学校をつなげて対話づくりを促す「LX DESIGN」

金谷の登壇は、LXと自身の紹介から始まりました。

「外部人材と学校をつなげるマッチングサービス、『複業先生』を提供しているLX DESIGNの代表の金谷です。 LXでは、学校の中で先生だけでは手が回らないキャリア教育や探究学習、プログラミング教育やSDGs教育、グローバル教育などを全国各地で提供しています。」

またLXは、学校教育に関わらず、外部人材を活用して管理職向けのアドバイスや学校の中の組織の心理的安全性のつくり方を提供している会社です。

そして金谷は、「保護者との対話や学校サービスのDX化(デジタルトランスフォーメーション:進化したIT技術を活用することで生活をより良い方向に変化させること)に取り組む中でオンライン学級通信を発行するなど、さまざまな事業を展開する会社である」と続けます。

「LXは学校の先生だけで教育の課題を抱え込まないように、教育関係人口を何百人何千人と増やしています。教育業界をいかに開いていくを考えている会社です。」

続いて金谷は、教育業界の課題を挙げ、LXが目指している社会の姿を語ります。

「学校教育の課題は、人手不足と価値観の多様化です。テクノロジーの発達で情報伝達が変わり、先生方の立ち位置や保護者の価値観まで変化した時代になりました。しかし、これからより情報と価値観が多様化するスピードは加速するでしょう。そこで教育業界こそ、どう時代の変化に対応するのか、真剣に対話するべき時が来ているのではないかと考えています。

中には、『複業先生に登録するにしても、何も成し遂げたことがないから授業の価値がない』とおっしゃる方もいます。しかし、その人に学歴があるとか、高年収とか、多くのキャリアを積んでいるとか、そういうことは重要ではなくて。誰かの人生は、誰かの感動や勇気になるんですよ。」

金谷は、これからの時代はテクノロジーの発展で便利になる一方、多くの人は孤独を感じる世の中になり、自分の存在意義がわからなくなる時代が来ると言います。そして、これからの時代の孤独や不安を癒してくれるのは、誰かとの対話や誰かに自分の人生を価値提供できた瞬間であるのだと語りました。

孤独になる世の中だからこそ「対話」を通して一人ひとりと向き合う大切さ

「話は変わりますがLXを立ち上げる前の私は、自分のことばかり考える人間でした。相手のことは考えず、いかに効率良く対話を少なくして、成果を上げるかを重視していて。でも自分がやってきていることは、人とのつながりや対話を生むことはない。むしろ、自ら孤独に向かっていることに気づきました。そこから、いろいろな場で人との対話を意識しています。」

最近、プライベートではパーソナルトレーニングを始めた金谷。ジムで出会ったトレーナーさんとの対話も紹介しました。

「トレーニングを始めた初日に、 トレーナーの方々全員に集まっていただき『私はこれから18ヶ月間真剣にトレーニングに取り組む。だから、一緒に頑張ってほしい。』と熱く語りかけたんです(笑)

私たちが一生懸命チャレンジすることは、 100万人の先生達やもっと言うと1億人の関係人口をつくることにつながっている。300年後の社会のために良いチームをつくれることは、あなた達の子ども世代が良い学びや時間を過ごせることにも、もしかしたらつながってるかもしれない。だから一緒にコミットしてほしい。』という話をして。そうしたら、トレーナーの方々全員が、私がジムに通い出した意味を真剣に考えてくれたんです。」

金谷は、トレーナーさん一人ひとりと対話していくと、その人の思いやこれまでのストーリーが見えてくると続けます。そして、対話を通して一人ひとりと向き合う重要性を語りました。

「日本の課題先進領域は、教育と医療の2つです。この2つにコミットしている人たちがLXの仲間だとするならば、トレーナーの方々とも対話をするべき人なんじゃないかと思ったんです。一人ひとりと向き合うことで、ただのトレーナーとお客さんから、いきなりビジョンを分かち合う同志に変わりました。今、私は全国でこのようなコミュニティづくりに励んでします。」

金谷の視座を変えたリーダーが伝える「問いと承認」重要性

「私の視座を変えたリーダーの話をさせてください。」

今まで日本を代表する数々の教育長や校長先生にお会いした金谷。彼らとの対話の中で、気づいたことがあるそうです。

「リーダーは、承認と問いのレベルがとても高いです。教育業界のリーダーとお話しさせていただいて誰かと対話する時、その人にどうインパクトを出せるかは、問いの質で決まると気づきました。指導案に立ち返ってみても、最初に書かれているのは主発問です。そのくらい物事のすべては、承認と問いがすべてだと思います。複業先生の事業の中でも、なぜ常に良い授業が担保されるかは、問いの質が最高水準だからだと考えています。」

ここまでの話は、一見テクノロジーとは全く関係ないように見えますが、金谷は「その考え方が甘いのではないか」と続けます。

「これからは、いろんな人の想いや問いが全部集約される時代が来るんです。時代に合わせてテクノロジーを使う必要があって。これからのテクノロジーはちょっと動画が見れたり、記録できたり、調べられたり、そういう次元じゃなくなります。」

「誰かとの対話を双方向に反映できるものは、テクノロジーに関わっていくと思います。LXは時代の流れを見据えて、双方向の対話が学校現場でも行えるように下準備を行っていますね。」

目まぐるしく変化する時代において「文化こそが変革に必須」

さまざまな年代がかかわる教育現場において金谷は、「文化こそが変革に必須」と続けます。

「新卒の先生からすると、現場にはすでに30年以上教育現場に携わられている先輩方がいますよね。学校現場には、彼らが持っている経験や知見がある一方で、新卒の先生方が見ている時代背景は、30年以上の先輩方とは明らかに違います。

日々メディアの在り方やテクノロジーが進化していることと同様に、学校文化が変化するのは当たり前です。だからこそ、情報の透明性が変化した時代に合わせて、学校文化をつくり変えていく必要があると思っています。」

時代に合わせた学校文化をつくらないと、これから先生になる子どもたちが「本当に先生になってよかった」 「学校の先生になるのは夢だったし、この仕事に時間を毎日尽くせて幸せ」という状況をつくることができないと金谷は続けます。

「今の学校現場でも、最高に幸せを感じて教員生活を送っている方々もたくさんいらっしゃいます。しかし、現状は7割以上の教員が過労死ラインを超えていて、 毎年約5000人が退職しています。我々は、この状況から目をそらしてはいけません。」

金谷は、夢を持って先生になるこれからの子どもたちのためにも、学校の新しい文化づくりに着手する必要性を語りました。

最後のトークテーマは、学校の先生方とLXの関わりに移ります。

「『複業先生』が初めて学校と関われたのは、2020年。私の地元富山県で高校2年生に向けてキャリア教育の事業を導入した時のことです。今は、国内の公立学校から私立学校、在外教育施設・海外の日本人学校までさまざまな学校で導入いただいていますが、『複業先生』の根源は、地方の学校との関わりであることを忘れてはいけません。」

「年間に数千・数万円しか予算がない中で、地方の学校でも使えるようなプロダクトにしたい。地方の学校に目を向けないと、教育は変わらない。」金谷はこのように、公教育業界を変えたい想いからつくったサービスが『複業先生』であると続けます。

「LXが向き合っているのは、例えば海外に住んでいた人がたくさんいるわけじゃない、首都圏のように多数の企業があるわけではない、といった地方の学校がほとんどです。LXは地域の中にいてもいろんな機会をわかち合いたいと思っている学校と、どう向き合っていくかを大事にしています。」

最後に金谷は「今日参加してくれている人の中から一人でも二人でも一緒に伴走してくれる人が出てきて、いつかLXも関係人口が一千人、一万人、一億人になる。今はその入り口を見ている」と語り、会は終了となりました。

複業先生で実現する「社会とつながる教育」

今回のイベントでは、我々LXの登壇イベント以外にも「HILLOCK初等部での学び」や「N/S高等学校での学び」、「宝仙小学校での学びやワークショップ」など、学校の先生方や教育学生に向けてさまざまなコンテンツが催されました。

しかし世の中には多種多様な教育機会がありつつも、学校の先生方の中には、「ICT教育やキャリア教育における導入ハードルの高さ」や「実際の導入方法」などでお悩みを抱えていらっしゃるのではないでしょうか。

我々LXはそういったお悩みに寄り添い、今回のようなイベント・授業を通して、皆さまのお力添えができたらと思っております。まずは『複業先生』で社会とつながる教育を体現し、日本中の子どもたちに社会とつながる楽しさを提供して参ります。


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