授業実施レポート
【キャリア教育実践授業】漫才教育家に教わる自分で稼ぐ時代に必要な3つの力@小林市立須木中学校

2023年2月21日、小林市立須木中学校にて複業先生を活用したキャリア教育が行われました。

今回登壇してくださった複業先生は、漫才教育家として活動しているピン芸人かける氏です。ピン芸人かける氏は、ボケやツッコミ、「自分プレゼン漫才」の実践を通して、「自分で稼ぐ上で必要な力」について語りました。

複業先生プロフィールピン芸人 かける氏 漫才教育家

2012年よしもとクリエイティブ・エージェンシーから芸人としてデビュー。現在は漫才教育家として、漫才を通してその人の面白さを引き出し、面白がれる人を増やしている。先生としては、幼児教育の塾で毎週150組の家庭の子どもたちと関わる。

「自己表現を好きになってほしい」先生方の想いを実現した授業の実施目的と依頼背景

今回の授業の依頼背景としては、須木中学校の先生方が生徒に対して「人前で自分を表現することを好きになってほしい」や「自分の考えを話せるようになってほしい」という思いがありました。

そこで「自分自身を相手に伝えるためにプレゼンテーションを練習する場」や「自分にしか持っていない視点・個性を発見する場」をつくることを目的に、複業先生によるキャリア教育の授業設計を進めました。

ツッコミ1000本ノック!に「ボケバトル」実践型キャリア教育の授業概要

▼授業概要

  • 日付:2023年2月21日
  • 授業時間:1時間
  • 開催方法:オンライン
  • 授業形態:グループワーク形式
  • 参加人数:3名
  • 学年:中学2年生
  • 設置区分:公立中学校
  • 複業先生名:ピン芸人かける氏
  • 複業先生の職種:漫才教育家  

▼当日のトークテーマと授業コンテンツ

  • 今の時代に必要な「話す力」の重要性
  • 「漫才教育家」と名乗るピン芸人かける氏の自己紹介
  • 自分で稼ぐ力を身につける上で大切なこと
  • 変なところを見つけ出せ!ツッコミ1000本ノック!
  • 大喜利力を高めよう!〜ボケバトル〜
  • 自分プレゼン漫才

君たちは、面白い。大切なのは「自分だけの言葉を持つこと」

授業の冒頭、ピン芸人かける氏は「何をしているときが一番楽しい?」「何が得意?」「自分のことを面白いと思う?」と生徒に問いかけました。

「音楽を聴くことが好き?」「スポーツは得意?」と様々な問いを投げ、生徒は次々と手を挙げます。一方で、「自分のことを面白いと思う?」という問いに、手を挙げた生徒はいません。

「日本人は、自分のことを面白いと思っていても、こうして自ら手を挙げられる人は少ないのです。でも、皆さんは実はすでに面白い。それを、今日の授業で伝えていきたいです。」と、ピン芸人かける氏は言いました。

続いて、これから生徒が大人になるにあたって、「自分だけの言葉を持つことを大切にしてほしい」と語りかけました。

「なぜかというと、これからの時代は『話す力』が求められるからです。自分の思いは言葉にしないと伝わりませんし、いざトラブルが起こったときも話し合うことで平和に解決できます。今日の授業では、『漫才』という形で、自分だけの言葉をつくり上げていきましょう。」

「自分だけの言葉」の表現方法は会話や絵、音楽など、何でも構わないと、ピン芸人かける氏は補足しました。

自分で稼ぐ時代に必要な3つの力が学べる「漫才」。1000本ノックでツッコミを鍛える

次にピン芸人かける氏は、自己紹介を行いました。

「僕は以前、『吉本興業』という芸能事務所で芸人として活動していました。現在は事務所を退所し、落語などの表舞台の仕事から、脚本作成などの裏方の仕事までを担当しています。塾講師として子どもたちに勉強を教えたり、自己紹介やプレゼンの方法を大人に教えたりすることもあります。」

ピン芸人かける氏に自己紹介を学ぶ大人の中には、70代の方もいらっしゃいます。それほど「話し方」は重要である一方で、日本では海外と違って話し方を学ぶ機会が少ないそうです。「『話し方』を武器にすると、値段の交渉など、いろいろなことができるようになります。」と、ピン芸人かける氏は言いました。

続いてピン芸人かける氏が触れたのは、「これからは子どもたちも稼ぐ時代」であること。「今は小学生や幼稚園児であっても、YouTuberとして自分でお金を稼いでいる人がいます。みなさんも今後、自分の力で稼がなければいけないし、稼げる力を持っているはずです。」と伝えました。

自分で稼ぐ上で大切なのは、先ほど触れた「伝える力」に加え、「課題を設定する力」「楽しむ力」の3つだそうです。

「課題を解くだけではなく、存在しない課題を自分で設定することが求められます。これを僕は、『企画力』と呼んでいます。テレビもYouTubeも、『企画』によって成り立っているのです。

課題設定力を身につけることで、人とは違った目線で、面白い企画が考えられるようになりますよ。」

「楽しむ力も欠かせません。何が起きても面白がり、ネタにしていきましょう。僕は過去にボロボロの自転車を漕いでいたら、チェーンが切れて前に進まなくなったことがあります。通りすがりの人には笑われましたが、僕は『ウケた!』と思いましたね。」

これらの3つの力を学ぶのに最適なのが「漫才」だと、ピン芸人かける氏は説明しました。

ここからは、「変なところを見つけ出せ!ツッコミ1000本ノック!」を開催。画面上に表示された絵の中から“違和感”を見つけ出すことで、ツッコミをマスターするゲームです。

最初に表示されたのは、野球少年がたくさん描かれた絵。よく見ると、「野球ボールではなくサッカーボールが使われている」「コウモリがいる」など、おかしな箇所があります。

ここでピン芸人かける氏は、「知識があればあるほどツッコミができるようになる」と強調しました。

「コウモリは英語でbat(バット)と言います。野球で使用するバットと掛け、『いやそっちのバットちゃうねん』というツッコミができそうですね。これは英語の知識があるからこそできるツッコミです。」

他にも、フルーツの中に海ぶどうが紛れ込んだ絵、雨傘の隣に飴が描かれた絵などを見ながら生徒はツッコミを実践していきました。

ボケを鍛えるボケバトルスタート!大切なのは、人と違う視点で考えること

続いてのゲームは、「大喜利力を高めよう!〜ボケバトル〜」。お題をもとに、生徒がボケを考えていくゲームです。ピン芸人かける氏は、以下のようにゲームの説明をします。

「ボケとは、正しいことからズレたことを言うこと。たとえば朝、人に会ったときに『おはよう』ではなく『おやすみ』と言うことが当てはまります。ボケにおいて大切なのは、『いかに人と違う視点で考えられるか』。これを意識してみてください!」

お題は、「今日の給食変だな〜何が出た?」「学校の新しいルールはいったいなに?」。学校での学び「ボケ」につながるとわかった生徒たちの顔が印象的でした。

自分を知ってもらう「自分プレゼン漫才」に挑戦!「自分を面白がってもらえたら嬉しい」

続いて生徒は、漫才のフォーマットをもとに、ピン芸人かける氏と一緒に「自分プレゼン漫才」を行いました。自分プレゼン漫才を行う前に、かける氏は以下のように説明を加えました。

「これからの時代、商売では『誰から買うのか』が大切。つまり、モノを売るためには『自分が誰なのか』を知ってもらう必要があります。お笑いの基本的な型は、3回の発言のうち最後のひとことでボケる『三段オチ』と、言葉の音やリズム、意味を利用した『言葉遊び』の2つにわかれます。」

自分をプレゼンするための「漫才」として、生徒は「好きな食べ物」「好きなスポーツ」「将来の夢」の3つのテーマからひとつのトピックを選択。ピン芸人かける氏と漫才を行いました。

授業はあっという間に終了。授業の最後、ピン芸人かける氏は熱いメッセージを送りました。

「今日の授業を通して、自分のことを少しでも面白いと思えた人はいますか?僕は面白い人ではなく、自分を面白がれる人を育てたいです。今日はみなさんが少しでも自分のことを面白いと思えていたら嬉しいです。」

参加者全員が10点満点中10点の回答!先生・生徒の感想をご紹介

授業の最後には、代表の生徒からお礼の言葉がありました。

「今日はお話をしてくださりありがとうございました。ツッコミやボケに挑戦できて、とても楽しかったです。これからいろいろなことを面白く考え、楽しく過ごしていきたいです。今日は本当にありがとうございました。」

授業後のアンケートは、生徒・先生ともに全員が10点満点中10点の回答でした。

生徒からは、「楽しく話を聞けて自分を表現できたからとても良かった」「人の視点の違いや個性、漫才、自分自身をプレゼンする方法を楽しく分かりやすく教えていただけた」「今まで気づかなかったことや知らなかったことを発見できた」といった感想が寄せられました。

先生からは、「笑いをとる方法や漫才の方法についてわかりやすく教えていただき、なるほど!と感じる内容でした。」「生徒の良さを引き出す手法がとても素晴らしく、60分をあっという間に感じさせる話術がすごいと感じました。」「生徒自身が自分たちの新たな可能性を発見する方向に導いていただけたと思いました。」などの回答がありました。

『複業先生』に関してはまずはお気軽にお問い合わせを!

今回の記事は、小林市立須木中学校学校にて行われた、複業先生を活用したキャリア教育についてご紹介しました。ひとつの科目にとらわれることなく、これからの未来で活かせる学びを提供できるのは『複業先生』の強みです。

今回の記事を読んで「他校の事例も見てみたい」「『複業先生』について具体的に知りたい」「学校の先生とのつながりをつくりたい」と思われた学校の先生方、まずはお気軽にご相談ください。


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