授業実施レポート
【キャリア教育実践授業】主体的に人生を選択する方法@小林市立小林中学校

2022年12月15日、宮崎県小林市立小林中学校にて『複業先生』活用によるキャリア教育の授業が実施されました。

今回登壇してくださった複業先生は、経営者や起業家として様々な事業にかかわる活動をしている5名の方々です。今回の授業では、主体的に人生を考えるようになったきっかけや仕事に対するモチベーションの上げ方について語っていただきました。

複業先生プロフィール

田中昌平氏 海外で2度起業をし、国内でも5度起業を経験。現在はオープンソースソフトウェアの開発を通して、2つの会社を経営しながら、自らコーディングも行い、ビジネスコンサルタントなども行う。常に海外からの最新技術に触れながら、兵庫県明石市に在住。東京や海外の仕事をメインに、チームも全員リモートで仕事をしている。偶然にも宮崎県立宮崎大宮高校出身。

中井順平氏 株式会社 大洋金属製作所 専務。大阪電気通信大学卒業後、カナダにワーキングホリデーとして留学。帰国後IT会社で17年間勤務。ソフトウェア開発業務として銀行統合、人工衛星管理システム、ECシステムなど多義にわたって従事。その後、現在の金属プレス加工会社に転職。その他、多くの海外経験や、災害ボランティア、資産運用なども行っている。

畠山怜之氏 株式会社ONE X 共同創業者 取締役。福岡出身、立命館アジア太平洋大学卒業後、NTT東日本へ入社し法人営業に5年従事。その後、サービス開発部門にて株式会社バカン(J-startup)への出資および出向。同社の九州支社立ち上げやマーケティング含めて3年半行い、NTTへ帰還。帰還後は経営企画部にて中期経営戦略推進に従事した後、2023年4月より独立。

大桃綾子氏 Dialogue for Everyone(株)Founder&代表取締役。慶應義塾大学大学院社会学研究科修了。三井化学(株)にて人事・事業企画に約10年従事。地方企業×都市部人材の副業兼業マッチングサービスJOINS(株)取締役、スタートアップ支援拠点SN@P新潟メンター、新潟県にいがた産業ビジョン検討委員会委員などを務める。国家資格キャリアコンサルタント、コーチも務める。

岩間裕太氏 PERSOL Global Workforce株式会社 営業部事業企画室に所属。同志社大学在学中にセブ島への語学留学とホーチミンでの海外インターンを経験。卒業後、株式会社ガイアックスにて、自社オフィス運営の新規事業と、財務部門での投資先支援に従事。投資先スタートアップのファイナンス支援を行う中で、支援先である株式会社シェアグリに出向。その後、取締役CFOとして転籍。管理業務全般を管掌。2022年11月にパーソルグループに事業売却し、現職として関わっている。

授業の実施目的と依頼背景

今回の授業の依頼背景としては、小林中学校の先生方は子どもたちが知っている職業が限られていることに課題感を覚えていたことにありました。

「子どもたちに様々な職業があることを知ってもらいたい」「自分の将来の夢を考える最初の一歩を踏み出してほしい」小林中学校の先生方の熱い思いのもと、5名の複業先生によるキャリア教育の授業設計を進めて参りました。

5名の複業先生には、人生選択や人生を歩む上で大切にしていることをお話しいただきました。

授業概要

  • 日付:2022年12月15日 
  • 授業時間:2時間
  • 開催方法:オンライン
  • 授業形態:講義形式
  • 参加人数:150名
  • 学年:中学1年生
  • 設置区分:公立中学校
  • 複業先生名:田中昌平氏・中井順平氏・畠山怜之氏・大桃綾子氏・岩間裕太氏
  • 複業先生の職種:経営者、実業家   

授業内容について

当日の授業は、以下のトークテーマに沿って進められました。

  • 現在のキャリアに行き着くまでのきっかけ
  • 仕事のモチベーションを上げる方法
  • 主体的に自分の人生を考えるためのポイント

自分の人生は日々の何気ない選択がつくりあげるもの

授業の前半は田中氏、中井氏の2名が登壇しました。複数の事業に携わっていたり、起業したりと主体的に自分の人生を選択してきた両名。なぜそうなったのか・そうしてきたのかを小学生時代から振り返って語りました。

田中氏が仕事について考え始めたのは、小学生時代。田中氏は当時「学校の先生になりたかった」と語ります。中学生時代は、宇宙に興味を持ち、天文学者になりたかったそうです。その後は、在住していた福岡県から宮崎県に引越したことで、キャリアの選択も変わります。

「天文学を学べる地学部が設置されている高校が宮崎県にはなくて。しょうがなく、天文学者への夢は諦めました。」

高校時代は、音楽やバンドに打ち込み、東京に出て音楽活動に打ち込もうと意気込んでいたと語る田中氏。

しかし、学校の先生の「音楽に興味があるなら、音を研究している大学に行ったらどうかな」の一言で、大学で音に関係のある勉強をしようと決意したそうです。

「大学時代は音にかかわる仕事をしようと思っていたものの、インターネットが流行り始めました。自分の興味がインターネットに移り、最終的にはインターネットの最新技術にかかわる仕事に就きました。人生を振り返ってみて、自分が描いていたキャリアの通りには進みませんでした。それでも興味のある方向に進み続ければ、道は開かれるのだと実感しています。」

一方、中井氏の人生を変えるきっかけとなったのは、1枚のポスター。何気なく見たポスターの言葉に感銘を受け、海外に行くことを決意したとのこと。

「『そのうち』という言葉は口にしない…たとえばそう決めてみる。喉が乾いたら水を飲むように、本当にしたいことがあるならなんだってゴクゴクと経験すればいい。旅に出る。うまいものを食べる。映画を観る。なにをするか、なんて問題じゃない。大切なのはなにを感じるか、ということ。」ポスターにはこのように書かれていたそうです。

中井氏は、ポスターを見て自分の心の内にあった「いつか海外に行きたいという願望」がふつふつと湧き出し、海外に行く決断ができたとのことです。

人生を歩む上で重要なことは「習慣化」と「目標の可視化」

続いて田中氏と中井氏は、自分の人生や仕事に対するモチベーションについての考え方を語ります。田中氏は、仕事に対して嫌な思いを持たずに続けるには「習慣化」が大切であると伝えました。

「モチベーションって実は、世の中に存在しないと思っていて。物事を継続したい時は、ルール化や習慣化すれば、そもそもモチベーションが必要ないのではないかと思っています。」

田中氏は人生における幸せについても語りました。「個人的に幸せに必要なものって、実はお金よりも周りの人間だったりするんですよね。自分の周りに一緒にいてくれる人や支えてくれる人がいるだけで、人は幸せを感じられると考えているからです。

私は、家族や友達と笑顔で過ごすために、今何をするべきなのか常に考えています。この習慣が私の人生がうまく進んでいるいると思える秘訣かもしれません。」

中井氏は、人生を歩む上で自己成長を大切にしているとのこと。中井氏は、1年毎に達成したい目標を掲げ、モチベーションを保っているそうです。

また中井氏は、ワークライフバランスの両立にも取り組んでいます。ノートに家族や仕事、プライベートでやりたいことを記載し、それぞれの進み具合も書いています。目標ややりたいことを可視化することにより、仕事やプライベート問わず自分のやりたいことを並行して進めているそうです。

主体的な人生を歩めるようになったきっかけは「周りとの違い」知ったこと

授業の後半は畠山氏、大桃氏、岩間氏の3名が登壇しました。8枚の名刺を持っていたり、2つの会社を経営していたり、いろいろな場所に移り住んで生活していたりと様々な働き方をしている3名。

授業前半と同様に、自分の人生について考えるようになったきっかけを語りました。

畠山氏が人生について考えるようになったのは、高校生の頃。スポーツ強豪校に一般入学生として入学した畠山氏は、これまで出会ったことがない人たちとの出会いがあったとのこと。新しく出会った人と対話を進める中で、自分とは異なる価値観があることを知ったそうです。

「様々な人と対話し多様な価値観を知るうちに『じゃあ自分って何がやりたいんだろう』と考え始めました。新しい人との出会いが、自分自身の人生を大きく変えました。」

大桃氏が人生について考えるきっかけになったのは、高校時代のフィリピンへの研修だそうです。大桃氏はスラム街に行き、自分の生活環境との違いに衝撃を受けたとのこと。

「訪問前は、漠然とスラム街に住むのは苦労が多かったりお金がなくて可哀そうだと思っていました。でも実際に行ってみたら、もちろん日々大変なことや苦しいことはあると思いますが、中での生活は笑顔で溢れていました。」

「幸せ」の基準は、お金があることやいい服を着ること、といったような基準があるわけではないと気づいた大桃氏は「まずは何でもやってみよう」との思考になり、人生が動き出したと語ります。

岩間氏は、大学時代に仲の良い友達に言われたひとことがきっかけで、人生が変化したそうです。

「岩間って、何かもったいないよね。」遊びやバイト、サークル活動などを楽しみながら大学生活を過ごしていた岩間氏にとって、この言葉に大きなショックを受けたとのこと。

しかし、ショックと同時に「もったいない」という言葉が府に落ちたことから、岩間氏は自分の将来について真剣に考え始めました。

「何かやらなきゃ」という危機感と「勉強してきた英語を話せるようになりたい」という思いがつながったという岩間氏は、留学に行く決断をします。

当時パスポートも所持していなかったものの、大学を休学しフィリピンに留学。この行動がきっかけとなり、主体的に動くようになったそうです。3名とも、周りとの考え方の違いに気づき、自身の人生について考えはじめたことが人生に変化をもたらしたきっかけでした。

3名の『複業先生』が伝える名言続出のメッセージ

続いて、畠山氏、大桃氏、岩間氏の3名が自分の人生や仕事に対するモチベーションについての考え方を語りました。

畠山氏は、「自分のサービスで人が喜んでくれるとモチベーションが上がる」と語りました。「人の目の色が変わる瞬間」ってあって。畠山氏は人の目の色が変わる瞬間を見ると、心から「頑張ってきてよかった」と思えるそうです。

大桃氏は、自分では思ってもいなかった発見をした瞬間にモチベーションが上がるとのこと。その発見に至るまでに、あちこち動いたり、迷子になったり、上手くいかなかったことも無駄じゃなかったと思えると言います。

岩間氏は、自分の好きな人と一緒に仕事ができることがモチベーションの源泉となっているそうです。自身には「明確にやりたい仕事や事業がない」と語る岩間氏。それでも、自分のやりたいことを明確に持っている人をサポートし、一緒に面白い世界をつくることができれば、モチベーションが上がると語ります。

最後に複業先生の3名から生徒たちに向けて「人生を歩んでいく上で大切にしてほしいこと」がメッセージとして贈られました。

畠山氏は、自分の得意なことや好きなことを仕事にするためには、自分と価値観や考え方が違う人とどれだけ多く会えるかが大切だと話しました。価値観や考え方が違う人と話すことにより自分と比較ができ、自分の特徴や得意なことが分かってくるそうです。

大桃氏からは、「やってみて損することなんて1個もありません。失敗しても、それが失敗だったと分かって、次は同じことをしなくて済みます。自分がやりたいと思ったことには、ブレーキをかけずに挑戦してほしいです。

オンラインで色々な人と繋がる時代だからこそ、ツールをフル活用して沢山の人に出会ってほしい」とメッセージが贈られました。

岩間氏は「人生の選択に迷ったら、ワクワクするほうへ」と伝えられました。「人に迷惑さえかけなければ、あとは自分が楽しいことをしているのが一番なので、迷ったら是非どっちが面白そうかな?やどっちが自分がワクワクできるかな?ということを考えて、日々生きてほしいです」と語りました。

小林中学校の櫻井先生からは「名言続出ですね」との言葉が出たように、生徒だけではなく、先生にとってもためになる授業となりました。

先生や生徒の感想

先生からは「生徒目線で話をしてくださった」「普段はなかなか接することがない職業の方々のお話を聞けて、非常に有意義な機会になった」との感想をいただきました。

生徒からは「勉強になった」「楽しかった」という声のほかにも「もっといろいろな人の話を聞きたい」といった声も挙がりました。

『複業先生』に関してはまずはお気軽にお問い合わせを!

今回の記事は、宮崎県小林市立小林中学校にて行われた、複業先生を活用したキャリア教育についてご紹介しました。

今回登壇いただいた5名の複業先生には、主体的なキャリア選択の方法や仕事に対する考え方についてお話しいただきました。

今回の記事を読んで「他校の事例も見てみたい」「『複業先生』について具体的に知りたい」「学校の先生とのつながりをつくりたい」と思われた学校の先生方、まずはお気軽にご相談ください。


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