2023年11月7日、静岡県下田市立下田中学校にて複業先生が登壇し、「京都を事前リサーチする」授業が行われました。授業の実施目的は、京都の修学旅行をより楽しむこと。
今回登壇した複業先生は、株式会社StrolyでアートディレクションとPRを担当している池谷薫氏です。池谷氏は、京都の魅力的な観光地やお土産、修学旅行におけるコースづくりのポイントを紹介しました。
〈複業先生プロフィール〉池谷薫氏 株式会社Strolyアートディレクター/PR
デザインされたマップのためのデジタルマッププラットフォーム、Stroly(ストローリー/本社京都市)にてデザインマップのディレクション業務を行う。趣味である散歩を活かし、まちを隅々まで歩いて、その土地ならではの魅力の発見を得意とする。京都生まれ京都育ち。
「修学旅行や調べ学習を楽しんでほしい」授業の実施目的と依頼背景
生徒たちにとって、修学旅行は学生生活の一大イベント。今年度の下田中学校の修学旅行の行先は京都でした。
生徒たちは京都旅行を楽しみにしているのはもちろん、先生方も修学旅行が生徒にとって良い体験になるよう、入念に準備を重ねていました。
「京都に対する興味関心を高めたり、知識を得たり、生徒自身でテーマに沿ってコースを決めたりすることで修学旅行や調べ学習を楽しんでほしい」。そんな先生方の想いが、今回の授業の依頼へ繋がりました。
120分で京都の魅力を伝えた「授業概要」
▼授業概要
- 日付:2023年11月7日
- 授業時間:120分
- 開催方法:オンライン
- 学年:中学2年生
- 設置区分:市立中学校
- 複業先生名:池谷薫氏
- 複業先生の職種:株式会社Stroly アートディレクター/PR
▼当日のテーマトークと授業コンテンツ
- 挨拶と自己紹介
- 京都の魅力についてのクイズ
- 地図アプリを使った京都の有名な寺社の紹介と場所の確認
- 和菓子マップについての説明と和菓子の紹介
- 京都の名物やお土産、言葉についての説明
- 移動手段の簡単な紹介
- 振り返りとまとめ
京都はどんな場所?〜神社やお寺の数を数字で知ろう!京都クイズ~
授業の冒頭に、池谷氏は京都に関するクイズを4つ出題しました。Q.1〜Q.3はこの記事をご覧の皆さまも答えを予想してみてください。正解は記事の末尾に記載しています。
Q.1 京都に神社はいくつあるか
1.500社 2.800社 3.1000社
Q.2 京都にお寺はいくつあるか
1.1000軒 2.1300軒 3.1700軒
Q.3 京都にお地蔵さんはいくつあるか
1.約5000 2.約6000 3.約7000
クイズの最後に池谷氏は「京都に世界遺産はいくつあるか」と出題しました。正解は17個。金閣寺や清水寺をはじめとした17箇所(16寺社1城)の世界遺産があります。
では、京都にはどのような世界遺産があり、どのような歴史があるのでしょうか。池谷氏は次のセクションで世界遺産について語ります。
※厳密には、京都の世界遺産登録数は1つ。理由は、17箇所の構成遺産が「古都京都の文化財」として1つにまとめられて世界遺産に登録されているためです。
京都の世界遺産はどこに位置しているの?~マップで京都を巡ろう~
クイズのあと池谷氏は、自身が務める企業が提供するサービス『Stroly』を使い、マップ上で京都の世界遺産を巡るワークショップを行いました。StrolyのQRコードを生徒たちが端末で読み取ると、マップ上を自由に動き回れるようになります。
池谷氏が「二条城はどこかな?上賀茂神社は?銀閣寺は?」と問いかけると、マップ上を生徒たちのアイコンが右往左往。京都にどんな世界遺産があるのかを調べた生徒は多くても、実際にどこにどの世界遺産があるのかまでは把握しきれていない生徒もいました。
場所を把握できていない生徒は、ワークショップを通してマップ上の場所を把握。これからどこに行くのかを、より現実的に捉えられるようになりました。
続けて池谷氏はマップ上で世界遺産の場所を確認しながら、歴史的ストーリーについても語りました。
池谷氏が銀閣寺について解説をしたあと、生徒から「銀閣寺の周りは、何もないから行かなくても良いと言われることもあるのですが…」と声が上がりました。池谷氏は以下のように答えます。
「銀閣寺の周囲には、いくつかおすすめの観光地があります。1つ目は、夏目漱石が物思いにふけりながら散歩したと言われる、哲学の道。2つ目は、南禅寺の水路閣。サスペンスドラマの舞台になったこともあるので、興味のある人は行ってみてくださいね。他にも、美味しいラーメンさんやお土産さんも並んでいるので、楽しめると思います。」
自分で調べるだけでは分からないことを、池谷氏に解説してもらうことで生徒たちの京都への理解はより深まったことでしょう。
京都の和菓子の紹介|生徒が試作した和菓子のお披露目
マップで京都を巡ったあとは、京都の和菓子について解説がありました。「京都は、和菓子文化が根付いている土地です。今日はたくさんある和菓子のうちの一部を紹介します。」と池谷氏は話します。
「みたらし団子」
鎌倉時代に下鴨神社で発祥した和菓子。御手洗川という川に浮かんだ泡がモチーフとなったとのこと。団子の形状が人形のように見えることから、厄除け人形としての役割もあった。
「亥の子餅」
旧暦で亥の月(現在の11月)に食べる和菓子。イノシシの子のような形の「亥の子餅」を食べることで万病から逃れられるといわれている。イノシシが多産なことから子孫繁栄を願う意味も含まれていた。
「懸想餅」
須賀神社の懸想文にちなんだ名物和菓子。2月2日、3日の二日間しか食べられない幻の和菓子と呼ばれている。
下田中学校の先生からは、「下田の良さを出せるような和菓子づくりの取り組みを生徒が行っているのでぜひ見てほしい。」との声が。選ばれた女子生徒は、水色の花形の和菓子を手に取りながら、「あじさいと海をイメージしてつくりました。」と解説。池谷氏は感嘆しながら、「とても美しい。和菓子の魅力は味はもちろん目でも楽しめるところですよね。」と和菓子の魅力を語りました。
たくさんの魅力的な観光地にどうやって行く?京都の交通網を解説!
これまで池谷氏は京都の世界遺産やおすすめの和菓子屋など、様々なスポットを紹介しました。
では、どのようにそれらのスポットへ行くのでしょうか?池谷氏は京都市バスと地下鉄の2つを取り上げ、それぞれのメリットやデメリットを説明します。
京都市バスはたくさん走っていて、どこでもアクセスしやすいことが大きなメリット。しかし混雑しやすく、計画したスケジュールがくずれる可能性もあるとのこと。地下鉄は二路線しかないため、複雑な路線図を見る必要がなくわかりやすい点が魅力です。
しかし電車では行きにくいところもあるため、地下鉄のみでの移動には限界があることがデメリット。つまり、「バスと電車の併用がおすすめ」だと池谷氏はいいます。ただし、東山エリア(清水寺・八坂神社・三十三間堂など京都を代表する名所があるエリア)は混雑しやすく、バスに乗れないことがあるため、徒歩が適しているようです。
最後に、池谷氏から生徒たちへ伝えたいメッセージが送られました。
「京都にはどんなものがあるのかなと調べるのも良いけど、自分の好きなもの×京都で調べてみてほしいです。京都は長い歴史があってたくさんのモノが生まれてきた町だから、きっと自分の好きなものも京都に繋がるはずです。
自分の好きなものと京都をかけ合わせて、自分なりの修学旅行をつくりましょう。」
「京都の面白さがわかった」|生徒の感想
授業後、生徒からは様々な感想が寄せられました。
- 京都には美味しそうなお店がたくさんあると分かった
- 京都にはお地蔵さんがたくさんいて驚いた
- 色々な歴史やエピソードを知られて面白かった
- 京都クイズやお店の紹介が印象に残った
今回の授業では、京都の魅力や歴史を知ることの面白さ、そして自分で調べて自分なりに修学旅行を楽しむコツを伝えることができました。
『複業先生』に関してまずはお気軽にお問い合わせ下さい
今回の記事では静岡県下田市立下田中学校にて行われた、修学旅行の予習授業についてご紹介しました。
自主的に旅行をする機会の少ない中学生にとって、修学旅行の計画は難しいこともあるはず。しかし池谷氏のような複業先生に登壇いただくことで「頼れる大人が身近にいて疑問に答えてくれる」。そんな環境を子どもたちに提供できます。
今回の記事を読んで「他校の事例も見てみたい」「『複業先生』について具体的に知りたい」「学校の先生とのつながりをつくりたい」と思われた学校の先生方、まずはお気軽にご相談ください。
▼京都クイズの答え
Q.1 京都に神社はいくつあるか
▶正解は2の800社
Q.2 京都にお寺はいくつあるか
▶正解は3の1700軒
Q.3 京都にお地蔵さんはいくつあるか
▶正解は1の約5000