2022年12月21日、熊本県熊本市立黒髪小学校にて熊本県初の『複業先生』を活用したインターネットリテラシー教育を行いました。
今回登壇してくださった複業先生は、弁護士の大島日向氏です。大島氏は、インターネットとの向き合い方や利用上の注意点についてお話をしました。
<複業先生プロフィール> 大島日向弁護士(第一東京弁護士会)M&Aを中心とする企業法務を専門とし、また、宇宙ビジネスやアグリテック等の先端産業領域も取扱う。小中高の各学年で法教育やキャリア教育の実績もあり、「こども六法」(弘文堂)の総合監修や「キャリア教育に活きる!仕事ファイル『法律の仕事』」(小峰書店)のインタビューに関与している。
授業概要・授業内容について
当日の授業概要は、以下の通りです。
- 日付:2022年12月21日
- 授業時間:50分
- 開催方法:オンライン
- 授業形態:講義形式
- 参加人数:140名
- 学年:小学校4・5年生
- 設置区分:公立小学校
- 複業先生名:大島日向氏
- 複業先生の職種:弁護士
授業内容は、以下のトークテーマに沿って進められました。
- インターネット・スマートフォンとの正しい向き合い方
- 法律で決められているインターネット利用時のルール
- インターネット・スマートフォンを利用する際の注意点
- 10,000時間の法則(10,000時間あれば誰でも何にでもなれる可能性があるということ)
- メディアとの向き合い方
- 時間の有限性・大切さ
現役弁護士が話す時間の重要性「10,000時間の法則」とは?
法科大学院(ロースクール)での勉強のために現在はオランダに住みながら、東京の法律事務所で弁護士として活動されている大島氏。
弁護士の仕事は、一般的にイメージされる民事・刑事裁判において被告人を守ることや金銭トラブルのサポートをするだけではありません。弁護士は、会社が新しいビジネスを始める際にビジネスの基盤づくりのお手伝いをすることもあるそうです。また大島氏は、アプリやインターネット上のサービスでもよく目にする「利用規約」をつくることも弁護士の仕事であると話しました。
大島氏は自身の自己紹介と弁護士の仕事内容を話し終えると、生徒に「時間の重要性」を問いました。
「いきなりですが、10,000時間。この時間は何を意味するか、考えてみてください。」
大島氏によると、(もちろん、向き不向きもありますし、人それぞれではありますが)人は10,000時間を使えばなんにでもなれる可能性があるとのことです。
「ここから話す内容は、あくまでも一例です。一般的に、弁護士になるためには、法学部と大学院の合計6年間程度は法律の勉強をします。よって、一般的には約7,000時間の勉強で司法試験まで合格できると言われています。弁護士だけでなくどの職種においても、約10,000時間を練習や勉強に費やせば、プロや専門家になれる可能性があると言われているのです。ただ、10,000時間に必ずしも具体的な根拠があるわけではないため、個人差があることは覚えておいてください。」と大島氏は続けました。
またこの時間は「10,000時間の法則」とも言われているそうです。大島氏は、以下のようにも生徒たちに問いを投げました。
「皆さんは1日にどのくらい、インターネットやゲームに時間を使っていますか?」
大島氏によると、子どもたちにとってインターネットやゲームは便利で楽しいものであるけれども、注意をしないと時間の浪費につながってしまう可能性があるとのこと。大島氏は、スマートフォンやインターネットの良い点と悪い点を次のように整理して説明をしました。
また大島氏は、授業の冒頭で話した10,000時間の法則を振り返りながら、時間の大切さについて次のようにも話しました。
「今まで無意識に消費していた時間。自分の夢の実現のために費やせば、自分がなりたかった仕事に就けるかもしれないですね。時間は誰にとっても必ず平等に与えられるものです。皆さんには、この時間の大切さを知ってもらいたいと思います。」
大島氏自身は、無意識にスマートフォンやタブレットによって多くの時間を消費しないために、様々な工夫をしているそうです。例えば、家族や友達と一緒に遊んだり過ごしたりしている時間は、スマートフォンやタブレットは使わないようにしようと心がけたり、寝る前にダラダラとスマートフォンを触らないように意識したりしていると話しました。
インターネットにはどんな危険や法律があるの?
授業の後半、大島氏はインターネット利用時の注意点について話しました。インターネットは誰でも発信できる利便性がある反面、情報の信用性が低かったり、知らない人と簡単につながってしまったりする危険性があるとデメリットを伝えます。
「例えば、インターネット上にアップロードした写真や動画は、完全には削除できません。いたずら半分でインターネットにアップロードした写真や動画が大きな事件につながり、一生皆さんの人生を苦しめることになってしまうかもしれません。」
大島氏は、「肖像権」についても説明します。「人は誰しも、自分の顔や容姿をみだらにインターネット上に公表されない権利、すなわち『肖像権』を持っています。だからこそ、自分自身だけでなく、人の容姿が写った写真をインターネット上にアップする際は、例えば、インターネットにアップロードをしても良いか事前に相談をするといった注意してほしいです。」
また大島氏によればインターネット上に匿名で投稿された写真・情報であっても、本人を特定できる法律があるとのことです。
さらに、他の人のスマートフォンを勝手に見る行為は良くない行為であり、法的にも問題になる可能性もあるとのことでした。
大島氏は今回の授業で、インターネットは誰でも発信できる利便性があることを解説しつつ、情報の信用性の低さや知らない人と簡単につながれてしまうインターネットの危険性を伝えました。
生徒の質問・感想
質問タイムでは、ある生徒が「良いサイトと悪いサイトの見分け方を教えてください」と質問を投げかけました。
大島氏は、「ひとつのサイトだけではなく、複数のサイトをみる」「誰が言ったことなのかを確認する」「本で調べたり先生に聞いたりする」などの具体的な対策を伝えました。
また、次の生徒からは以下の質問が出ました。
「『インターネットには偽物の情報が出ている』とニュースで見ることがありますが、これは本当ですか?」
大島氏は、「インターネットは誰でも情報を発信できる反面、嘘をつく気がなくても間違った情報を発信してしまう危険性があります。中には偽物の情報が流れていることもあるでしょう。インターネットの情報を常に信じるのではなく、本や専門家に話を聞くといった方法も大切にしてください。」と伝えました。
『複業先生』に関してはまずはお気軽にお問い合わせを!
今回の記事は、熊本県熊本市立黒髪小学校にて行われた、インターネットリテラシー教育についてご紹介しました。
今回登壇いただいた複業先生の大島氏には、メディアの危険性や時間の大切さをインターネットやスマートフォンなどと関連づけてお話しいただきました。
今回の記事を読んで「他校の事例も見てみたい」「『複業先生』について具体的に知りたい」「学校の先生とのつながりをつくりたい」と思われた学校の先生方、『職員室革命』や『職員室革命公式Twitter』ではその他の授業事例もご紹介しております。まずは以下のコンタクトフォームからお気軽にご相談ください。