2022年3月12日、土佐塾中学・高等学校まなび創造コースでは、1年を通して何を学んできたのかを発表する「学年末エキシビジョン」が実施されました。「学年末エキシビジョン」は、創立以来初めての開催です。
生徒たちは、5分間のプレゼンテーションを自ら作成し、保護者の方や外部講師でかかわってくださった方々に向けて発表しました。
原稿は持たず、自分の口で話す。大勢の大人が見ている中、前を向いて話す。受付や司会進行、音響、オープニングムービーの作成、当日のYouTube配信まで、すべて自分たちで行う。
まだ中学生の彼らには、ハードルが高いミッションが渡されましたが、参加者全員の協力で大成功を収めることができました。
今回は、土佐塾中学のまなび創造コースで行われた「学年末エキシビジョン」の様子をお伝えします。
土佐塾中学・高等学校まなび創造コースとは?
土佐塾中学・高等学校のまなび創造コースは、2021年4月から設立されたSTEAM教育を主とする教育を行っています。土佐塾中学・高等学校は、高知県にあります。在籍生徒数は、2021年4月地点で24名です。
STEAM教育とは、Science、Technology、Engineering、Art、Mathematicsの5つの単語の頭文字を組み合わせた教育思想です。STEAM教育は、急速に発展するIT社会に順応できる人材を育てていくために、2000年代からアメリカで取り入れられました。
文部科学省も、STEAM教育の推進を行っており、「STEAM教育等の各教科等横断的な学習の推進について」以下の文章を掲載しています。
AIやIoTなどの急速な技術の進展により社会が激しく変化し、多様な課題が生じている今日、文系・理系といった枠にとらわれず、各教科等の学びを基盤としつつ、様々な情報を活用しながらそれを統合し、課題の発見・解決や社会的な価値の創造に結び付けていく資質・能力の育成が求められています。
文部科学省では、STEM(Science, Technology, Engineering, Mathematics)に加え、芸術、文化、生活、経済、法律、政治、倫理等を含めた広い範囲でAを定義し、各教科等での学習を実社会での問題発見・解決に生かしていくための教科等横断的な学習を推進しています。
STEAM教育等の各教科の横断的な学習の推進ー文部科学省
土佐塾中学・高等学校では、教科を学ぶことを目的とせず、日々の活動の中から教科の概念を学ぶことを目的としています。先生方は、子どもたちに日々の生活でも学ぶ対象が存在する気づきを提供し、子どもたちの成長を見守っています。
この1年間で行われた活動は、アイスをテーマに、アイスのルーツや成分を学び、実際に作り、販売まで行う体験学習から、Bizworld (課題解決型学習)に1年を通して取り組みました。
ときには、ゲストスピーカーを招き、子どもたちに社会で起こっていることや身につけるべきことなどを伝えてもらう機会を設けました。
また、定期テストを行わないのも土佐塾中学・高等学校の特徴です。定期テストを行わない代わりに、学期ごとに自分の取り組んできたことをプレゼンテーションを通して発表しています。可能な限り保護者の方にも参加していただいて、子どもの成長を感じられる場を提供しているそうです。
今回の「土佐塾学年末エキシビジョン」は、1〜3学期の集大成でした。
土佐塾中学・高等学校の生徒がSTEM教育を通して得た学びとは?
「学年末エキシビジョン」の始めには、生徒が自ら作成したオープニングムービーが流れました。その後、生徒が司会として「学年末エキシビジョン」の説明を行い、一人一人のプレゼンテーションが始まりました。
最初に登壇してくれたのは、不登校で学校に行けていなかったE君です。
E君は、学校に行けなかった中でも、1学期に行ったアイスづくりを通して得たアルバイト経験、2学期では、体育祭や学園祭を通して得た人との関わりを通して感じる成長、3学期では現役早稲田大学生や税理の方に登壇いただき、お金や人生について学びを得たことを発表しました。
「僕は学校がある200日の中、100日しか学校に行けませんでしたが、それでもたくさんの学びを体感しました。学校が楽しいことを知ったので、2年生になったらまずは学校に行きます!」E君は最後に、2年生の抱負を述べました。
K君は、1年間を「何にでも挑戦する1年だった」と語ります。
例えば、英語が苦手でもまずは英単語から覚えるように挑戦したこと。CM作成を行ったこと。スポーツの探究学習に取り組んだこと。さらには、下駄箱作りなどにも挑戦したそうです。
また、道徳の授業では「学校の授業で習ったことを全てマスターしても、働く人ではなく、動くだけの人になってしまうこと」を学んだと発表します。そしてK君は「これから、トラブルシューティングを学んで、人から尊敬される人間になりたい。人を大切にしたい。」と語りました。
次に登壇したK君は、紅茶アイスを蔦屋書店で販売した際、リーダーとして活躍した経験を話しました。リーダーは、仕入れ先に出向き、販売数の確保やアイスを運んだり、アイス紹介やチラシ配りをしたりしたそうです。
まなび創造コースで唯一の女子であるNさんは、「女子があまりにも少ない理由」をこの1年で考えたとのこと。Nさんは、土佐塾中学に女子が少なすぎる理由に、「本当に勉強するのか?」「実際、大学に行けるの?「授業内容がわからない」などの不安があるからだと推測しました。
そこでNさんは、わからないことが多すぎるまなび創造コースの課題を解決するために「自分でInstagramを使って伝えよう!」と決断しました。Instagramを選んだ理由は、ユーザーの年齢層や利用者数を見て、まなび創造コースの良さを伝えるために一番効率の良いツールだと判断したためです。
Nさんは、また、Canvaを使って学期ごとに写真の判別がつくよう、自らデザインを作成しているそうです。さらに、Instagramのリール機能を活かして動画で投稿した方が、より視聴数が上がることに気づいたと語りました。
「24時間以内に消えてしまうストーリーズは、機能性を利用して、カウントダウンやアンケートに利用しています。8月からInstagramを創設して8ヶ月経過しまして、中学2年生から編入女子がひとり決定しました!」
Nさんは満面の笑みで語り、会場からは拍手が沸き起こりました。
生徒のプレゼンテーションが終わった後は、土佐塾高等学校校友会 の樋口雅一関西支部長が感想を述べました。
「みんなとても良かったです。まなび創造コースのみんなが、2年生になるのが楽しみです。何より、自分の言葉で語っているのが良かったと思います。まなび創造コースは、これからもどんどん進化していくと思いますが、関わる人全員が何かを学べるコースだと感じます。社会に出ている大人こそ、まなび創造コースの子どもたちのプレゼンテーションを聞くことで、気づかされることが多いと思います。」
最後に、YouTube配信を通して送られてきた温かいコメントが読み上げられ、「学年末エキシビジョン」は終了しました。
LX DESIGNを通して全国に「開かれた教育」を
今回は、日本で先進的にSTEAM教育を開拓する「土佐塾中学・高等学校まなび創造コース」の「学年末エキシビジョン」を紹介しました。
私たちLX DESIGNも、土佐塾中学・高等学校まなび創造コースのように、様々な視点を持ち、多面的な教育を目指し、少しでも学校の関係人口を増やすべく邁進しています。
私たちLXと社会に開かれた教育を提供したい方はぜひ複業先生へ登録いただき、子どもたちが社会とつながるより良い世界を一緒につくり出していきましょう。