イベント開催レポート
静岡県下田市立旧下田東中学校開催!地域の魅力の情報発信と関係人口の増やし方とは?【複業先生特別授業レポート】


この記事では静岡県下田市立旧下田東中学校で行われた「下田の再発見と発信プロジェクト」をご紹介します。


今回のプロジェクトはLX DESIGN(以下:LX)が、同校中学1年生の30名を対象に、総合的な学習の時間を活用して開催。LXが提供する学校と外部人材のマッチングサービス『複業先生』を通して、2名の複業先生が「外から見た下田を学び、発信と関係人口の増やし方について学ぶ」をテーマにお話しされました。

2名の復業先生は、デザイナー兼カメラマンで、下田好きが高じて現地で起業をされた藤井瑛里奈(ふじい・えりな)氏と、官民連携で目覚ましい業績を上げ、年間300回以上の講演をこなす「日本一おかしな公務員」山田祟(やまだ・たかし)氏です。


また、今回の複業先生特別授業に参加した生徒はもともと「ワーケーション」をテーマに探究活動を行っていました。しかし、2月に行われるポスター・パンフレット・SNS・動画などを活用した最終発表に向けての準備に不安を抱いたとのこと。その不安を解消するべく授業に参加しました。30名の生徒たちにはどのような学びがあったのでしょうか。


「複業先生」プロフィール

塩尻市役所 企画政策部地方創生推進課 
地方創生推進係(シティプロモーション担当)山田崇氏

1975年塩尻市生まれ。千葉大学工学部応用化学科卒業。 空き家プロジェクトnanoda代表。信州大学ローカルイノベーター養成コース/地域ブランド実践ゼミ特別講師。内閣府地域活性化伝道師 「地域に飛び出す公務員アウォード2013」大賞、グッドデザイン賞2016を受賞。

『日本一おかしな公務員』(日本経済新聞出版社)著者

※所属は2021年12月地点の情報です。

株式会社しもズブ 代表取締役(カメラマン兼ウェブデザイナー) 藤井瑛里奈 氏
1996年、埼玉生まれ。大学では教員とスポーツトレーナーを目指して学業に励む。卒業後は、デザイナー×カメラマンとしてフリーランスに。2020年7月に静岡県下田市でのプロジェクトをきっかけに、埼玉から下田へ移転。最初は2週間のみの滞在予定だったが、下田の町が大好きになり、2020年10月に下田を好きになる人材を増やす会社「株式会社しもズブ」を設立。


藤井氏が目を向ける「内部と外部の視点の違い」


講義の最初の1時間は、藤井氏・山田氏によるパネルディスカッションです。講師たちの経歴や現在の活動、各々のビジョンやフィロソフィーなどが講演形式で紹介されました。


パネルディスカッションは藤井氏からスタート。藤井氏は、下田に魅了された経緯を語りました。


「最初は、ワーケーションで下田に来たんです。ワーケーションを通じて、下田の美味しい海鮮物や綺麗な海、あたたかい人間関係などに触れて。都会には無い下田の魅力を感じました。でも私が感動したことって、地元の人にとったら当たり前の日常で。下田の人が感じる当たり前をもっと知りたいと思い『株式会社しもズブ』を始めました。」


都会から来た自分が感じた魅力と、地元の人にとって当たり前のギャップ。藤井氏は、このギャップが大きな気づきとなり、自分を動かしたのだと続けます。


「地元の人が当たり前に思っていることでも、その当たり前を渇望している人が世の中にはたくさん存在するって気づいたんです。地元の人の当たり前を求めている人からすると、下田は『お金を払ってでも行きたい・住みたい場所』になります。毎日満員電車に揺られて、コンクリートジャングルの中で生きている人にとっては、下田の海は別風景に見えるんです。」


日々の生活で、自分たちが「当たり前」と思っていることに焦点を当てる。そして、外部の人の目にはどう写るのか考える。藤井氏によると、内部と外部の視点の違いに気づくだけでも、発信の工夫につながるそうです。


山田氏が語る「期限を決めて身近な人を対象にとにかく動く」ことの重要性


山田氏は、今まで自分が行ってきたプロジェクトの概要を語りました。


山田氏によると、新しいアイデアを生み出し、人を巻き込みながらプロジェクトを成功させる秘訣は「期限を決めて」「身近な人を対象に」「とにかく動いてみる」とのこと。


「何か新しくアクションを起こしていく時には、『何から始めたらいい?』『失敗したらどうしよう?』などの不安がつきものですよね。でも何事もやってみないとわかりません。まずは3ヶ月やってみるといいと思います。」


「3ヶ月ならモチベーションを高く保てます。また、3ヶ月あればフィードバックや経験値が溜まります。そして3ヶ月試行錯誤してみた結果から、次のアクションへのアイディアが生まれていくんです。」


また、山田氏には「知らない誰か」ではなく、身近な人を対象に「この人に対してこのアイディアはどう映るだろう?」と考えてみることも重要だと続けます。
「プロジェクトや何か新しい商品を生み出す時にはターゲットの設定が大切です。ターゲットはできればお母さんや顔見知りの店員さんなど、具体的にイメージできる物である方が有効とですよ。」


山田氏も藤井氏と同様、身近なものに目を向ける大切さを語りました。


ワークショップから生まれる専門家と生徒の化学反応


講演会の後は、山田氏と藤井氏のそれぞれ二つのグループに分かれて、ワークショップセッションが行われました。


山田氏のグループで、生徒が山田氏に問いかけました。「ポスターを作ろうと思っています。どうしたら面白くて人の目に留まるポスターができますか?」


山田氏は「そもそもなぜポスターにしようとしたの?何を達成したいの?」と投げかけました。山田氏は、物事の疑問点には常に「WHY」の姿勢で考えることが重要と答えます。


また、山田氏は「ポスターにするなら、例えば『1日1時間しか貼られていないポスター』にするとか。『マスク型ポスター』なんかにしたら面白いよね!」と既成概念に囚われずに自由に発想する面白さをシェアしました。


続けて山田氏は「『日本中で下田にしかない』ような『日本唯一』という視点を目指すと、自然と人やメディアの注目は集まってくるよ」と生徒に投げかけます。希少性や限定性などを狙ったマーケティング手法についても紹介しました。


藤井氏のグループでは、実際に校外に出て写真の撮り方を学ぶワークショップが行われました。プロのカメラマンから撮影のコツを学べるとあって、生徒は興味津々。ワークショップの最初は、背景の選び方や三分割法を使った構図の取り方など、写真の基本についての概要を学びます。その後、2人1組での実践です。


「海と空を横の三分割線に沿って分けてみるといいよ」「人は三分割線の上に配置してみよう」など、藤井氏のアドバイスをもらいながら、生徒たちは楽しく活動に参加しました。


生徒からは「普段写真を撮る機会が少ないから、すごく勉強になった」「とても楽しかった」などの感想があふれます。


また、先生からも「当初は中学一年生にとっては難しい内容かと思っていましたが、複業先生が生徒たちのレベルや状況に合わせて話を合わせてくれたので、生徒もとても楽しそうにしていました!」「自分たちが滅多にできないことをやらせてもらえて、とても満足しています!」などの声が挙がりました。


藤井氏は「実際に体験したり、一緒に何かすることで生徒との親和性が生まれるのは楽しい。この活動を通して生徒の興味を刺激できたら」と語りました。
このように専門的な知識を持つ人との触れ合い・学びから生まれる化学反応は、複業先生授業ならではの魅力です。


複業先生だから提供できる「リアルな体験」


教育の現場では、これからもより「リアルな体験」が求められていきます。さまざまな分野で活躍している「プロの話」を聞く機会は、重要度を増していくでしょう。


プロの深い知識や視点が学習に加わると、生徒たちの視野を広げる。そして、彼らの興味関心を刺激し、学びをより一層深くすることができる。今回の授業を通じて、私たちLXはこのように実感しました。


また、今回の企画は、『複業先生』として登壇してくださった講師のお二人はもちろん、旧下田市立下田東中学校の佐々木学年主任をはじめとする先生方や、下田市役所産業振興課の樋口氏など、様々な方にご協力をいただいて開催されました。ご協力いただいた皆様に、心から感謝を申し上げます。ありがとうございました。


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